640:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/01(火) 17:04:46.77 ID:WYeMhNPYo


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【12月31日 夜】


P「ふぃー、仕事納め終了、っと!」ビューティーボイス

P「でも、大晦日までこの状態っていうのもなぁ……やだなぁ……」

P「私以外、誰もいないし」

P「あーやだやだ。こんな年末まで仕事に追われて、一人身で寂しく年越しなんてね。あたしゃ嫌だよ」

P「……どうしようもないこの不条理は、私を解放してくれない」

P「はぁ、どこかでお蕎麦でも食べて年越しするかなぁ……」


640:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/01(火) 17:04:46.77 ID:WYeMhNPYo

(ガチャッ)

(ビュウォォォォオオオ)

P「さむ……」

P「夜風が私の身を切り刻む……」

「ゆっくりゆっくり生きていることを(中略)残酷なほどに優しく切り刻む」

P「うるさい」

P「……幻聴に独り言返してりゃ世話ないね……」

(ヒュウウゥゥゥゥ…)




641:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/01(火) 17:05:37.53 ID:WYeMhNPYo

(ヴヴヴッ)

P「ん、メールが三件……」パカッ


春香『もうすぐ明けますね(^-^) 新年ですよ、新年!』

美希『ハニ→と年越ししたかったの! 良いお年をね!』

律子『昼間にお願いした書類、期日は一週間後でした。本当にごめんなさい』


P「律子ォ……」プルプル

P「……まぁ、いっか。どうせお仕事無くたって変わらないし……」

(パァァー)

P「そこらのビルはまだ灯りが付いてるし。夜勤かなぁ、大変だなぁ……」

P「それに比べれば、年越しできる分マシかな……」

P「……蕎麦屋どこがいいかなぁ」




642:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/01(火) 17:06:16.32 ID:WYeMhNPYo

(ヴヴヴッ)

P「ん? ええと……貴音から?」


貴音『あなた様、今はどちらに?』


P「えーと、事務所から帰宅中。ついでに貴女様だよ、と」カチカチ

(ヴヴッ)

P「あれれ、着信」

(ピッ)

P「もしもーし」

貴音『こんばんは。まだ事務所の近くでしょうか?』

P「そうよー、駅のそば」

貴音『でしたら、いつものお店の前へいらっしゃってください』

P「はいはい」

(ピッ)

P「どうやら、一人で年越しという寂しいことにはならなそうね」




643:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/01(火) 17:07:18.35 ID:WYeMhNPYo

(テクテクテク)

貴音「あ。貴女様」

P「やっ、貴音」ピッ

貴音「ふふ、こんばんは」

P「こんばんは。先に言っておくけど、今日はナシだからね」

貴音「わたくしとて、いつもいつもあのようなことばかり考えているわけではありません」

P「その発言、比較的あのようなことの比重が貴音にとって大きいと捉えるよ」

貴音「面妖な……」

P「それ言えば許されると思わないでね。ほら、入ろ?」


(パサッ)

<ラッシャイ!

P「味噌ラーメン」

貴音「冷やし担々麺を」

P「がっつり行くのねぇ」

貴音「ふふ、良いではありませんか」

P「いいんだけどね」




644:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/01(火) 17:08:02.72 ID:WYeMhNPYo

P「もう一年も終わりかぁ」

貴音「時間的にも、丁度年越しらぁめんでございますね」

P「あと十分かぁ。でも、貴音と年越しすることになるとは思わなかったよ。なんでこんな時間に?」

貴音「小鳥嬢に、貴女様が遅くまで残っていると教えていただきました」

P「それだけで、わざわざ家から事務所まで?」

貴音「わたくしには、貴女様がいらっしゃるというだけで、腰を上げる理由足り得るのです」

P「そう言ってもらえるのは嬉しいけど」

<ホラ、ナマトツマミ、サービスダヨ!

P「わぁっ! ありがとうございます!」

貴音「……」ヒョイパクッ

P「あぁっ! ザーサイが一瞬で!」

貴音「貴女様はびぃるをお飲みになればよろしいのです」ムグムグ

P「うぐぐ……」




645:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/01(火) 17:08:56.93 ID:WYeMhNPYo

<ヘイ、オマチィ!

P「いただきます」

貴音「いただきます」

(ズルルッ)

P「うん、刻み玉ねぎが麺とスープに絡んで……」ズズッ

貴音「この冷やし担々麺の、凝縮された胡麻の味が……」ズズッ

P「……冬に冷やしなんて食べて寒くない?」

貴音「ふふ、問題ありません。一口、どうぞ」スッ

P「ふぅん……」ズズッ

P「! 本当だ、美味しい……」

貴音「適度な辛みも身体を温めてくれるのです」

P「はい、味噌ラーメンもどうぞ」

貴音「では、一口……」ズゾゾゾゾッ!!

P「ちょっとぉ!!!?」

貴音「……まこと、美味でございます」ケプッ

P「は、半分消えたぁ……」




646:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/01(火) 17:09:48.48 ID:WYeMhNPYo

(チラッ)

P「あ、もうあと二十秒くらいで……」

貴音「貴女様」

P「ん?」

貴音「良いお年を」ニコッ

P「ええ、良いお年を」ニコッ

(カチッコチッ)

貴音「……」

P「……」

(チッ!)

P「あ」


P貴音「「あけまして、おめでとうございます」」


P「……新年最初に顔を合わせたのは貴音かぁ」

貴音「ご不満でしょうか」

P「いいえ。一人ぼっちの年越しに比べれば、全然」

貴音「それ以外と比較しても勝るとは、言って下さらないのですね?」

P「ふふ、嬉しいよ、貴音」

貴音「……貴女様はいけずです」

P「じゃ、続きに年明けらぁめんを。替え玉お願いしまーす」

貴音「こちらにもお願いします、店主よ」




647:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/01(火) 17:10:23.11 ID:WYeMhNPYo

<マイドアリィ!

P「はぁ、食べた食べた」

貴音「貴女様、このまま初詣へと参りましょう」

P「んー、初詣かぁ。ここ数年、行ってない気がする」

貴音「さぁ、行きましょう」グイグイ

P「あぁもう、分かったから。服が伸びちゃうから!」

貴音「ふふっ。こちらですよ」





――――
―――
――




648:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/01(火) 17:11:34.28 ID:WYeMhNPYo

P「へー、こんなところに神社があったんだ」キョロキョロ

貴音「あまり大きくはありませんが、風情のある場所です」

P「いいよね、こういう地元の人ばかりの、こじんまりとした神社って」キョロキョロ

貴音「大きなところでは、参拝よりも参拝客の多さに圧倒されてしまいますので」

P「とはいえ、やっぱり初詣はそれなりに人が来るね。並ぼうか」

貴音「はい」

(テクテク)

P「冷えるなぁ」

貴音「こうすれば、暖かいですよ」ギュッ

P「……あすなろ」

貴音「すっぽりとはまります」

P「うー、いつもは私の方が大きいのに……」

貴音「ふふ、小さな貴女様も可愛らしいですよ」

P「ちぇっ、馬鹿にしてー」

貴音「そんなことはありません。素直な気持ちです」

P「むぅ」

<アマザケ、イカガデスカー

P「あ、ください」

貴音「わたくしにも」

<ドウゾー

P「ありがとうございます」




649:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/01(火) 17:12:20.05 ID:WYeMhNPYo

P「さて、一口……あつぅっ!?」

貴音「大丈夫ですか?」

P「ちょ、超猫舌だから……うえぇ、コレ絶対火傷しちゃってる……」

貴音「冷まして差し上げましょう」フーッフーッ

P「じ、自分でできるから!」

貴音「ふふふ」

(ゴクッ)

P「……温まるなぁ」

貴音「はい、まことに」




650:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/01(火) 17:13:15.47 ID:WYeMhNPYo

(パチパチ)

P「あ、破魔矢とか燃やしてるね」

(パチパチ)

貴音「……わたくしは、この火が好きなのです。元日の夜、参拝客を暖かく照らす、この火が」

P「火の粉が舞いあがってる」

貴音「はい、宙を飛び交う様に」

P「なんだか、蛍みたい」

貴音「冬の紅い蛍。儚げで、しかし繰り返し繰り返し舞い上がる姿から、果て無きこの世の巡りを思わずにいられません」

P「今年も、始まったのねぇ……新しい年が」

貴音「そろそろ、わたくし達の番ですよ」

P「あ、ホントだ」




651:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/01(火) 17:13:51.52 ID:WYeMhNPYo

(チャリンチャリン)

(パンッパンッ)

P「……」

貴音「……」

P「……いこっか」

貴音「はい」

(テクテク)

P「お参りしながら、何考えてた?」

貴音「今年も、良き一年になりますように、と」

P「も、ってことは、去年は良き一年だったんだ?」

貴音「はい、それはもう」

P「色々大変なこともあったと思うけど」

貴音「……ふふっ」

P「?」

貴音(貴女様のお傍にいられただけで、わたくしには良き一年なのですよ)




652:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/01(火) 17:14:40.31 ID:WYeMhNPYo

P「あ、貴音! おみくじ引こう、おみくじ!」

貴音「では、参りましょう」

(カラカラ)

P「ええと……"は"の三、を」

貴音「わたくしは"た"の一を」

<ドウゾー

P「ありがとうございます。じゃ、開けてみよっか」

貴音「はい。それでは……」

(ペリッ)

貴音「ふふふ、中吉でございます!」

P「あ、大吉だ」

貴音「……」プイッ

P「えっ、なんで拗ねるのよ!?」

貴音「ふんだ」

P「貴音ぇ……」




653:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/01(火) 17:15:43.53 ID:WYeMhNPYo

貴音「内容を見てみましょう」

P「まずは病気よ病気」

貴音「何故?」

P「だって……この不思議体質が治ってくれないと……」ガサガサ

貴音「……わたくしは、そのままでも」ボソリ

P「なんですって?」

貴音「なんでもありません」

P「ええと……『生命に気づかい無』って……そ、そりゃあ命は問題ないかもしれないけど!」

貴音「ふふ、もしかすると、ずっとそのままかもしれませんよ」

P「やだぁ……そんなのやだぁ……」グスッ

貴音「わたくしは、それでもかまいませんよ」ボソリ

P「え?」

貴音「なんでもありません」




654:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/01(火) 17:16:31.00 ID:WYeMhNPYo

P「ええと、縁談……」

貴音「!」

P「『思わず早く調う 他人に任せよ』?」

貴音「!!!」グワッ

P「た、貴音?!」

貴音「お任せください、貴女様」

P「は、はい?」

貴音「わたくしが、全て調えて差し上げます。貴女様は、ごゆるりとなさっているだけでいいのです」

P「目! 目が見開いてる!」

貴音「ふふ、ふふふふふふ……」

P「……喝っ!!!」

(バシィンッ)

貴音「なんとっ!? ……はっ!」

P「ふぅ……大丈夫?」

貴音「も、申し訳ありません。取り乱してしまいました」

P「もう、びっくりさせないでよね」

貴音(ですが……きっと今年中には……)

貴音「……貴女様」

P「ん?」

貴音「……ふふ、なんでもございません」




655:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/01(火) 17:17:18.20 ID:WYeMhNPYo

P「さて、それじゃあそろそろ帰ろっか」

貴音「わたくし、終電が既に……」

P「今日は大晦日だから夜も走ってるでしょ」

貴音「……貴女様はいけずです」

P「ほらほら、帰るよ」

貴音「……はい」

(テクテクテク)

貴音「……ここまでで結構です」

P「そう?」

貴音(これ以上は……寂しくて離れられなくなってしまいますから)

P「それじゃあ、今年も一年、よろしくお願いします」

貴音「……はい、よろしくお願いいたします」ニコッ

P「それじゃあ、気を付けてね。おやすみ」

貴音「はい、おやすみなさいませ」





――――
―――
――




656:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/01(火) 17:17:59.65 ID:WYeMhNPYo

(カララッ)

P「ふぅ、いい湯だったぁ……」

P「新年早々、思ったより充実してたなぁ」

P「……って、まるで恋人か何かみたいじゃない、これ……」

P「う、うわぁ……なんだかむず痒い……でも、暖かい年越しだったなぁ」

(ストンッ)

(キィッ)

P「窓の外はまだ暗いなぁ」

P「……ってダメ……眠くなってきちゃ……」

(ポテッ)

P「……すぅ……すぅ……」




657:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/01(火) 17:18:42.68 ID:WYeMhNPYo

(ガタンゴトン)

貴音「……」

貴音「今年は年初から、良き時間を過ごすことが出来ました」

貴音「しかし、欲を言えば……」

貴音「……もう少し、お傍に」

貴音「……いえ、上を見ると、きりがありません。致し方ないこと」

貴音「それにしても……」

(ガタンゴトン)

貴音「心地良い揺れが……ねむ……」

貴音「……すぅ……すぅ……」




658:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/01(火) 17:19:15.72 ID:WYeMhNPYo

P「……ン……寝ちまったか」メンズボイス

P「お、戻ってる。良かった良かった」

P「流石に元旦であのまんまだったら泣くしかないな……」

P「しかし、無理してでもシャワー浴びといて良かった……あのまま倒れてたら爆肉鋼体やっちまうとこだった」

(チラッ)

P「七時前か……寝直すか。寝正月だなこりゃ」

P「……お?」




659:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/01(火) 17:19:54.23 ID:WYeMhNPYo

貴音「……はっ!」

(ガタンゴトン)

貴音「……すっかり寝てしまったようですね」

(チラッ)

貴音「もう、七時前……。何時間も……何たる不覚」

貴音「一体何往復してしまったのやら……わたくしとしたことが……」

貴音「おや……?」




660:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/01(火) 17:20:36.17 ID:WYeMhNPYo

(パァァァァァア)



P「あ、初日の出だ。眩しいな」

P「……そうだ」

(ゴソゴソ)



貴音「初日の出……このような場所で目にすることになるとは」

貴音「……ふむ」

(ゴソゴソ)




661:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/01(火) 17:21:40.02 ID:WYeMhNPYo

(ヴヴヴッ)

P「ん?」



(ヴヴヴッ)

貴音「はて?」



(ピッ)



貴音「あ」



P「これは……」




662:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/01(火) 17:22:26.77 ID:WYeMhNPYo

貴音「……ふふ。考えることは」



P「同じだったか」



from:プロデューサー
sub:明けたな
添付ファイル:2013110651.jpg
本文:眩しい



from:四条貴音
sub:謹賀新年
添付ファイル:201301011.jpg
本文:今年の、初日の出でございます。



おわり



律子「……プロデューサー、姫?」 P「Pチャンハ、カワイイデスヨ」へ続く...